開成中学校の国語を攻略する上でまずは重要になるなのは、開成中学校が受験生にどの程度の読解レベルを求めているかを把握することです。
多くの受験生は、塾のテキストや模試の読解文ばかり読んでいるため、「塾レベル」の読解レベルに留まっています。
この留まっている読解レベルを引き上げる必要が絶対的に必要ですが、塾が対策してくれるのは小6の夏休み以降の「学校別対策」などが始まる頃と非常に遅い。読解レベルを上げるのは『少しずつ、でも着実に』というスタンスが必要なのに、入試まで残り半年の段階で急に読解レベルを上げようとするから着いて行けずに志望校を落とすはめになります。
というわけで、塾に任せずに自らの力で読解レベルを上げる必要があります。
そこで有効なのが、というより、唯一の方法が「本を読むこと」です。
ただ、いたずらに読書をしても読解レベルは上がらないので、オススメなのは開成中学校の過去の出典を参考の本を読んでいくことです。
というわけで、今回は開成中学校の過去の出典を見ていきましょう!この中で、「読解レベルを自らの力で引き上げるための初めの1冊」をぜひ探し出してみてください!
2024年度(令和6年度)
開成中学校の2024年度(令和6年度)入試では、以下の2冊から出題されました。
【大問1】佐々木正人『時速250kmのシャトルが見える』
大問1は、佐々木正人さんの単著『時速250kmのシャトルが見える – トップアスリート16人の身体論』(光文社新書)から出題されました。
『時速250kmのシャトルが見える』
(佐々木正人)
スポーツについて考えたり議論したりする際、主に2つの焦点があり、1つは「アスリートの身体」、もう1つは「スポーツの環境」です。多くの場合、前者に焦点を当てることが多いですが、この本では後者の「スポーツの環境」に焦点を当てているのが特徴です。
具体的に言うと、陸上選手にとっての「地面」であったり、水泳選手にとっての「水」に焦点を当てて論じるイメージですね。
多角的な視点・視座を身に付けるという意味でもオススメの書籍です。
【大問2】千早茜『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』
大問2は、千早茜さんの短編集『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』所収の『鵺の森』から出題されました。(「鵺」という漢字がなかなか読みにくいですが、「ぬえ」と読みます。日本で伝承されている妖怪の名前です。)
『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』
(千早茜)
こちらの本は、西洋童話(グリムとアンデルセン)をモチーフにして、主題を現代の日本に置きかえているというのが特徴です。(単純化していえば、西洋童話の日本バージョン。)
大問2で出題された『鵺(ぬえ)の森』は、『みにくいアヒルの子』がモチーフになっています。
他にも、「ヘンゼルとグレーテル」、「白雪姫」、「シンデレラ」、「マッチ売りの少女」、「ハーメルンの笛吹き男」、「いばら姫」がモチーフになっています。
短編集なので1話1話がコンパクトです。なので、読書に慣れていない受験生でも読み始めやすいです。
2023年度(令和5年度)
開成中学校の2023年度(令和5年度)入試では、以下の2冊から出題されました。
【大問1】隈研吾『ひとの住処』
大問1は、建築家の隈研吾さんの『ひとの住処 1964-2020』から出題されました。
『ひとの住処 1964-2020』
(隈研吾)
こちらの本は、隈研吾さんの自伝的な要素を含みつつ、「建築とは何か?」をテーマに綴られている一冊です。
隈研吾さんは建築家として超有名で、代表的な建築作品としては、2020年東京オリンピック・パラリンピックの主会場である国立競技場や角川武蔵野ミュージアム、高尾山口駅舎、昭和記念公園のオカカフェなどがあります。また、出身校である栄光学園中学・高校(神奈川)の校舎の設計監修もしています。
【大問2】柚木麻子『終点のあの子』
大問2は、柚木麻子さんの『終点のあの子』から出題されました。
『終点のあの子』
(柚木麻子)
こちらの本は、女子高生の友情を描いた短編集です。全4篇。オール讀物新人賞を受賞した『フォーゲットミー、ノットブルー』も含まれています。
飽きさせないストーリーと、思春期を生きる少女の繊細な心理、みずみずしい感性が巧みに描かれており、とても読みやすい作品です。かつ、舞台が中高一貫の女子校ということもあり、中学受験生にとっては物語に入り込みやすいので、開成中の読解レベルを知るための初めの1冊としてはかなり適しているかと思います。
2022年度(令和4年度)
開成中学校の2022年度(令和4年度)入試では、以下の1冊から出題されました。(大問が1つのみだったため。)
【大問1】森沢明夫『おいしくて泣くとき』
大問1は、森沢明夫さんの『おいしくて泣くとき』から出題されました。
『おいしくて泣くとき』
(森沢明夫)
こちらの本は、こども食堂の「大衆食堂かざま」から始まる思いやりの連鎖が紡ぐ軌跡を描いた長編小説です。
短編集ではないので文章量は多いのでは?と思うかもしれませんが、温かいストーリーに吸い込まれ、あっという間に読み切れる作品です。「本を読んでも内容が頭に入らない」と思っていて本嫌いな人にオススメな1冊です。
ではでは、今回はこのあたりで。